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医療扶助とは?生活保護で無料になる医療と対象範囲を徹底解説

更新日:2025年11月12日

医療扶助のイメージ(病院の受付と保険証・医療券)

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医療扶助は、生活保護の医療費負担を原則ゼロにする仕組みです。健康保険の自己負担(1~3割)とは異なり、指定医療機関での保険診療を対象として、診察・検査・投薬・入院などの費用が公費で賄われます。ここでは、対象範囲・使い方・対象外の費用・緊急時のポイントをやさしく解説します。

1. 医療扶助の基本と「窓口無料」の仕組み

医療扶助は、保険診療に相当する範囲の医療費を公費で負担する制度です。受給者は、指定医療機関で受診し、医療券(受給者証)を提示することで、窓口での自己負担が原則不要となります。

  • 対象者:生活保護の被保護者(世帯単位)
  • 負担方法:医療機関は自治体へ公費請求/受給者の窓口負担は原則0円
  • 反映タイミング:受診の都度、医療券の提示または事前交付の手続き

※詳細の運用は自治体により異なります。初診前に担当へ相談すると確実です。

2. 対象となる医療の範囲

おおむね健康保険の保険診療に相当する範囲が対象です。例:

  • 外来・入院の診察、検査、治療、手術
  • 投薬(院内・院外処方)、注射、リハビリテーション
  • 歯科診療(保険適用範囲)・義歯の作成
  • 眼科での保険診療(必要性が認められる眼鏡等を含む場合あり)
  • 妊娠・出産に関する医療は原則「出産扶助」だが、医療行為は医療扶助で扱うことあり

一方、自由診療美容目的、医学的必要性が乏しいものは対象外です。必要性の判断は医師の診断や自治体の審査に基づきます。

3. 医療券(受給者証)の使い方と指定医療機関

受診は指定医療機関が原則です。受診前に以下を確認しましょう。

  • 医療券(受給者証)を提示:受付で保険証のように提示。事前交付やオンライン確認の運用もあり。
  • 転院・紹介:他院へ移る場合は、事前に担当へ連絡・相談を。
  • 非指定医療機関:やむを得ず受診した場合、償還払い等の扱いになることがあります。

歯科・眼科・リハビリ・専門外来なども、指定医療機関であることが前提です。

4. 通院交通費(移送費)が認められるケース

病状や距離により、通院に伴う交通費(移送費)が医療扶助の範囲で認められることがあります。

  • 公共交通機関の運賃相当(必要最小限)
  • 症状等によりタクシーが必要と判断された場合(医師の意見・事前相談が目安)
  • 付き添いが必要なときの取り扱い(年齢・障害・病状等により判断)

移送費は事前に相談・後日証明が基本です。レシート・診断書・通院記録を保管しましょう。

5. 対象外・自己負担になりやすい費用

次のような費用は、医療扶助の対象外または自己負担になりやすい項目です。

  • 差額ベッド代(特別療養環境室):医療上の必要がない自己選択の場合は自己負担
  • 自由診療・先進医療・美容医療:原則対象外
  • 文書料・診断書料:一部自己負担になることあり
  • 選定療養費:特定療養費(大病院の紹介状なし初診等)は自己負担になりがち
  • 衛生材料やサプリ:医薬品として保険適用されないもの

判断が分かれやすいときは、受診前に医療機関と担当へ確認すると安心です。

6. 緊急時の受診(救急・時間外)

急病・事故などの緊急時は、ためらわず救急受診を。受診後に速やかに担当へ連絡し、医療券・請求の手続きを確認します。非指定医療機関であっても、緊急性があれば実費精算や償還払い等で後処理が可能な場合があります。

7. よくある質問

Q1. 窓口で「お金はかかりませんか?」と聞いてもいい?

はい。対象・対象外の費用を確認してから受診すると安心です。

Q2. 薬局(院外処方)でも無料?

指定の保険薬局で、医療券(受給者証)と処方箋を提示すれば、原則無料です。

Q3. 歯科治療や義歯は?

保険診療の範囲が対象です。自費の素材・自由診療を選ぶ場合は自己負担になります。

Q4. 眼鏡は対象?

医師の意見等に基づき生活・就労に必要と認められた場合、扶助の対象となることがあります。担当へ相談してください。

Q5. 交通費は毎回出る?

病状、距離、公共交通機関の有無等を踏まえて個別判断です。事前相談・証明書類が重要です。