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生活保護とは?制度の目的と仕組みをやさしく解説

更新日:2025年10月30日

福祉窓口で相談する人のイメージ

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生活保護は、経済的に困難な状況にある人に対して、国と自治体が生活費や医療費を支援する制度です。「健康で文化的な最低限度の生活」を保障するために設けられた、日本の最後のセーフティネットについて分かりやすく解説します。

生活保護とは?制度の目的と概要

生活保護の基本理念

生活保護制度は、日本国憲法第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」を根拠とし、国民の生存権を具体的に保障する制度です。誰もが経済的な理由で生活できなくなった場合に、国が必要な保護を行うことを目的としています。

「健康で文化的な最低限度の生活」とは

「最低限度の生活」とは、単に生きるだけでなく、社会的なつながりや文化的活動を含めた“人間らしい生活”を指します。食費や住居費だけでなく、教育・医療・社会参加などの要素も含まれます。

生活保護の仕組み

国と自治体の役割

生活保護の実施主体は市区町村(福祉事務所)ですが、財源の多くは国が負担しています。つまり、国と地方自治体が協力して運営する制度です。相談や申請は、住所地を管轄する福祉事務所で行います。

どんな支援が受けられるのか(8つの扶助)

生活保護の支援は、目的別に8種類の「扶助(ふじょ)」に分かれています。

  • 生活扶助:食費や光熱費など日常生活費
  • 住宅扶助:家賃・地代の支援
  • 教育扶助:義務教育にかかる費用
  • 医療扶助:医療費全額支給(自己負担なし)
  • 介護扶助:介護サービス利用時の負担軽減
  • 出産扶助:出産にかかる費用の支援
  • 生業扶助:就職・技能習得のための費用
  • 葬祭扶助:葬儀費用の支援

これらを組み合わせて支給することで、個々の生活状況に応じた支援が行われます。

生活保護が必要とされる背景

失業・病気・高齢など主な原因

生活保護を受ける理由はさまざまです。代表的なものとして、失業、病気や障害、離婚、DV被害、高齢による年金不足などが挙げられます。誰にでも起こりうる状況であり、特別な人だけの制度ではありません。

受給世帯数の推移と現状

厚生労働省の統計によると、生活保護受給世帯数は約160万世帯前後で推移しています。高齢単身世帯の増加が顕著であり、構造的な貧困や孤立が社会課題となっています。

まとめ|生活保護は「最後のセーフティネット」

生活保護は、誰にでも起こりうる困難に備えるための制度です。申請をためらう必要はなく、困ったときは自治体の福祉事務所に相談することが第一歩です。

この制度を正しく理解し、必要なときに活用することが、安心して生活するための大切な一歩となります。