住まい・世帯構成から生活保護費を自動計算
「働いたら生活保護はすぐ打ち切り?」──いいえ、働きながら受給できます。就労で得た収入は「収入認定」というルールで計算され、必要経費などを差し引いたうえで保護費に反映されます。ここでは、初めての方にも分かるように、認定の考え方・流れ・注意点をまとめました。
目次
生活保護は「働いてはいけない制度」ではありません。むしろ、就労は積極的に推奨され、働き始めたからといって即時に打ち切られることはありません。収入が増え、基準額(生活扶助+住宅扶助など)を安定して上回る状態が続けば、結果として廃止(保護終了)になりますが、就労そのものは制度の趣旨にかなっています。
収入認定とは、「世帯の実際の手取り相当額を、保護費の算定に反映する」仕組みです。ポイントは次の3つ。
つまり、「額面」ではなく、暮らしに使える実質的な収入を基準にします。
※具体の取り扱いは自治体運用で異なる場合があります。迷ったら申告のうえ担当ケースワーカーに確認を。
就労で得た収入は、次の順序で「手取り相当」に近づけます。
この考え方により、少し働いただけで生活が急に苦しくなることを避ける設計になっています。
収入は「得た月」に申告します。一般的な流れは以下のとおりです。
※給与の締め日・支払日や、事業収入の入金時期によって「どの月の収入か」が変わります。
ここでは考え方の例を示します(実額や控除水準は自治体運用や世帯状況で異なります)。
例:世帯の基準額が12万円、あなたの就労収入(手取り想定)が月6万円の場合。必要経費や一定の配慮による減算後、認定額が4万円になれば、12万円 − 4万円 = 8万円が保護費として支給されます。
収入が増えれば保護費は減りますが、世帯全体の手取りは原則として増える方向になるよう設計されています。
いいえ、打ち切りではありません。収入に応じて支給額が調整され、トータル手取りが大きく下がらないよう配慮されています。
はい。収入は原則すべて申告します。必要経費の考え方や証明が重要なので、記録とレシートを保管しましょう。
世帯の状況や学業との関係で取り扱いが異なる場合があります。ケースワーカーに必ず相談し、証明書類を添えて申告を。
慰謝料や保険金、退職金などは性質により一時金として認定されることがあります。早めに相談・申告を。
後日の調整や返還につながることがあります。意図的な未申告は不正受給になるため、迷ったら申告が原則です。
生活保護は、就労を妨げない制度です。収入認定では必要経費や一定の控除が考慮され、働くほど世帯の手取りが増える方向に調整されます。まずは毎月の収入をきちんと申告し、分からない点は早めに担当へ相談を。就労と受給を両立しながら、将来の自立につなげていきましょう。