住まい・世帯構成から生活保護費を自動計算

働きながら受給できるの?収入認定の仕組み【2025年版】

更新日:2025年11月12日

働きながら生活保護を受けるイメージ(仕事と家計の両立)

この記事をシェア:

Xでシェア LINEでシェア Facebookでシェア

「働いたら生活保護はすぐ打ち切り?」──いいえ、働きながら受給できます。就労で得た収入は「収入認定」というルールで計算され、必要経費などを差し引いたうえで保護費に反映されます。ここでは、初めての方にも分かるように、認定の考え方・流れ・注意点をまとめました。

1. 生活保護は働きながら受けられる

生活保護は「働いてはいけない制度」ではありません。むしろ、就労は積極的に推奨され、働き始めたからといって即時に打ち切られることはありません。収入が増え、基準額(生活扶助+住宅扶助など)を安定して上回る状態が続けば、結果として廃止(保護終了)になりますが、就労そのものは制度の趣旨にかなっています。

2. 収入認定の基本ルール

収入認定とは、「世帯の実際の手取り相当額を、保護費の算定に反映する」仕組みです。ポイントは次の3つ。

  • 世帯単位でみる(個人ではなく同一世帯の合計)
  • 実際に得たタイミングで計上(振込・受取時期が基準)
  • 必要経費や一定の控除を差し引いた後の額を反映

つまり、「額面」ではなく、暮らしに使える実質的な収入を基準にします。

3. 認定される収入/されない収入

認定されるおもな収入

  • 給与・アルバイト代・日雇い収入
  • 事業収入(フリーランス、副業を含む)
  • 年金・手当の一部(種別により取扱いが異なる)
  • 保険金や一時的な入金(性質により按分・一時認定)

原則として認定されない(対象外になりやすい)もの

  • 見舞金・香典など社会通念上の少額の贈与
  • 実費弁償にあたる立替精算
  • 教育目的で使途が限定された給付(学校経由の給付等)

※具体の取り扱いは自治体運用で異なる場合があります。迷ったら申告のうえ担当ケースワーカーに確認を。

4. 就労収入の扱い(必要経費・控除の考え方)

就労で得た収入は、次の順序で「手取り相当」に近づけます。

  1. 必要経費の控除…社会保険料、通勤費、仕事に不可欠な費用など、実際の負担を差し引く。
  2. 一定の控除(就労に配慮した減算)…働く意欲をそがないよう、一定割合や一定額が差し引かれる仕組みがある。
  3. 残った額を「収入」として反映…基準額と比較し、足りない分が保護費として支給される。

この考え方により、少し働いただけで生活が急に苦しくなることを避ける設計になっています。

5. 申告と反映のタイミング

収入は「得た月」に申告します。一般的な流れは以下のとおりです。

  • 月内:給与や売上を受け取る → 収入申告書と証明(給与明細など)を用意
  • 翌月上旬:担当窓口へ提出 → 収入認定が行われる
  • 翌月分の保護費:認定額に応じて増減(不足分を支給)

※給与の締め日・支払日や、事業収入の入金時期によって「どの月の収入か」が変わります。

6. かんたん事例でイメージ

ここでは考え方の例を示します(実額や控除水準は自治体運用や世帯状況で異なります)。

例:世帯の基準額が12万円、あなたの就労収入(手取り想定)が月6万円の場合。必要経費や一定の配慮による減算後、認定額が4万円になれば、12万円 − 4万円 = 8万円が保護費として支給されます。
収入が増えれば保護費は減りますが、世帯全体の手取りは原則として増える方向になるよう設計されています。

7. よくある質問

Q1. アルバイトを始めたらすぐ打ち切り?

いいえ、打ち切りではありません。収入に応じて支給額が調整され、トータル手取りが大きく下がらないよう配慮されています。

Q2. 副業(フリマ・配達)も申告が必要?

はい。収入は原則すべて申告します。必要経費の考え方や証明が重要なので、記録とレシートを保管しましょう。

Q3. 子どものアルバイト代は?

世帯の状況や学業との関係で取り扱いが異なる場合があります。ケースワーカーに必ず相談し、証明書類を添えて申告を。

Q4. 一時的に多く入金があったら?

慰謝料や保険金、退職金などは性質により一時金として認定されることがあります。早めに相談・申告を。

Q5. 申告を忘れたら?

後日の調整や返還につながることがあります。意図的な未申告は不正受給になるため、迷ったら申告が原則です。

8. まとめ|「働く」ほど自立に近づく仕組み

生活保護は、就労を妨げない制度です。収入認定では必要経費や一定の控除が考慮され、働くほど世帯の手取りが増える方向に調整されます。まずは毎月の収入をきちんと申告し、分からない点は早めに担当へ相談を。就労と受給を両立しながら、将来の自立につなげていきましょう。