住まい・世帯構成から生活保護費を自動計算

生活保護費の計算方法をわかりやすく解説

更新日:2025年12月2日

生活保護費の計算イメージ(書類と電卓)

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このページでは、「生活保護費はいったいどうやって計算されているのか?」という疑問にお答えします。難しい数式や細かな通知文をそのまま紹介するのではなく、考え方の全体像と、よくある世帯パターンのイメージがつかめるように整理しました。

実際の金額は、トップページの自動計算を使えば簡単に調べられます。このページでは、その自動計算の「裏側の仕組み」をざっくり理解するためのガイドとしてご活用ください。

生活保護費の計算の基本的な考え方

「必要な生活費 − 世帯の収入=生活保護費」

生活保護費は、ざっくり言うと次のような考え方で決まります。

① 国が定める「その世帯が暮らすために必要な生活費」
から、
② 本人や世帯の収入(年金・給与・手当など)
を引いた残りを、公的な給付で補うイメージです。

この「必要な生活費」にあたる部分が、生活扶助・住宅扶助などの基準額で、地域(級地)や世帯構成、年齢などによって細かく決められています。

生活扶助・住宅扶助などを合算して決まる

実際の計算では、次のような形で各扶助の基準額などを合計し、そこから収入を差し引きます。

  • 生活扶助(食費・光熱費など、日々の生活費)
  • 住宅扶助(家賃・地代など)
  • 必要に応じた各種加算(母子加算、障害加算など)

医療扶助や介護扶助などは、原則として「現物給付」(医療機関へ直接支払い)で行われるため、ここで説明する「毎月の生活保護費の計算」とは少し扱いが異なります。

生活扶助の計算方法

級地と年齢区分による基準額

生活扶助は、世帯ごとの年齢構成と、住んでいる地域の物価水準(級地)に応じて、国が「基準額表」を定めています。

  • 地域は、物価などをもとに「1級地-1」「1級地-2」「2級地-1」「2級地-2」「3級地-1」「3級地-2」などに区分
  • 世帯員の年齢(0~2歳、3~5歳、小学生、中学生、15歳以上 など)ごとに基準額が設定
  • 世帯の人数・構成によって合算した額が、その世帯の生活扶助基準額のベース

具体的な金額は、厚生労働省の告示や各自治体の資料で定められており、定期的に見直しが行われています。このサイトの自動計算も、これらの基準をもとに算出しています。

各種加算・冬季加算など

世帯の状況によっては、基準額に加えて「加算」が上乗せされることがあります。代表的なものは以下のとおりです。

  • 母子加算(ひとり親世帯など)
  • 障害者加算・障害児加算
  • 老齢加算(一定の条件を満たす高齢世帯 など)
  • 冬季加算(寒冷地などで暖房費の負担が大きい場合)

これらの加算も、対象となる条件や金額が細かく決められています。すべての世帯に一律でつくわけではなく、「該当する世帯のみ」追加されるイメージです。

収入がある場合の扱い

年金や給与など、世帯に収入がある場合は、原則として生活扶助や住宅扶助の合計額から差し引く形で計算されます。

ただし、就労収入については、働く意欲を損なわないようにするため、一定の金額が「収入認定から除外される(控除される)」仕組みがあります。これを「勤労控除」などと呼びます。

そのため、「収入が少し増えたら生活保護費がその分すべて減る」というわけではなく、手元に残るお金が少しでも増えるような仕組みがとられています。

住宅扶助の考え方

地域ごとの家賃の上限額

住宅扶助は、主に賃貸住宅の家賃を対象とした扶助です。ただし、どんな家賃でも全額支給されるわけではなく、世帯人数や地域(級地)ごとに「上限額」が決められています。

例えば、「単身世帯は〇円まで」「2人世帯は〇円まで」といった上限の範囲内であれば、その実際の家賃額が住宅扶助として認められる、というイメージです。

賃貸・持ち家などケース別の取り扱い

住宅扶助の具体的な取り扱いは、住まいの形態によっても異なります。

  • 賃貸住宅:家賃や共益費などが対象(上限額あり)
  • 持ち家:固定資産税や必要な修繕費が、一部住宅扶助として認められる場合あり
  • 公営住宅:家賃が比較的安いが、その分、住宅扶助もそれに応じて算定

詳しい取り扱いは自治体によって若干異なる場合があります。実際に受給中・申請予定の方は、福祉事務所で個別に確認することをおすすめします。

その他の扶助の位置づけ

医療扶助・介護扶助は現物給付

生活保護には、生活扶助・住宅扶助以外にも、さまざまな扶助があります。そのうち、医療扶助介護扶助は、原則として「医療機関や介護事業所へ自治体が直接支払う」形で行われ、受給者本人がお金を受け取るわけではありません。

そのため、毎月の「振り込まれる生活保護費の計算」には直接入ってきませんが、実際には医療費や介護サービスの自己負担がなくなる(または大きく軽減される)ため、生活全体としては大きな支援になっています。

出産扶助・生業扶助・葬祭扶助など

そのほか、次のような一時的な出費についても、必要に応じて扶助が行われる場合があります。

  • 出産扶助:出産にかかる費用
  • 生業扶助:就職活動や資格取得、営業に必要な資金など
  • 葬祭扶助:最低限の葬儀を行うための費用

これらは、「毎月の生活保護費の計算」とは別枠で判断されることが多く、状況や必要性に応じて個別に決定されます。

生活保護費の計算例(イメージ)

ここでは、あくまで仕組みのイメージをつかむために、簡略化したサンプルを紹介します。実際の金額は、地域・世帯構成・時期によって大きく異なりますので、必ず最新の基準に基づく自動計算や福祉事務所で確認してください。

例① 単身世帯(都市部・賃貸)の場合

たとえば、都市部(級地が比較的高い地域)に住む単身世帯で、収入がないケースをイメージしてみます。

  • 生活扶助基準額(単身・〇歳):仮に約〇万円
  • 住宅扶助(家賃):上限内の家賃と仮定して約〇万円
  • 加算:特に無しと仮定(0円)
  • 世帯の収入:0円

この場合、
生活扶助〇万円+住宅扶助〇万円=「必要な生活費」
となり、収入が0円であれば、その全額が生活保護費として支給される、というイメージになります。

例② ひとり親+子ども世帯の場合

次に、ひとり親世帯(親1人+子ども1人)で、パート収入があるケースを考えてみます。

  • 生活扶助基準額(親+子ども):仮に約〇万円
  • 住宅扶助:賃貸で約〇万円
  • 母子加算:仮に約〇千円
  • 世帯の収入:パート収入約〇万円
  • 就労収入の控除:一部が控除され、収入認定額は〇万円弱になるイメージ

この場合、
(生活扶助+住宅扶助+母子加算) − 収入認定額=生活保護費
となります。就労収入の一部が控除されるため、働いた分だけ手元に残るお金も増えやすい仕組みになっています。

例③ 高齢夫婦世帯の場合

高齢夫婦(年金収入あり)の世帯を例にしてみます。

  • 生活扶助基準額(高齢夫婦):仮に約〇万円
  • 住宅扶助:賃貸で約〇万円
  • 老齢加算など:条件を満たす場合は加算がつくことも
  • 年金収入:夫婦合計で約〇万円

この場合、
(生活扶助+住宅扶助+加算) − 年金収入=生活保護費
という考え方になり、年金額が高いほど、生活保護費として支給される額は少なくなります。

ただし、年金だけでは基準額に届かない場合、その差額が保護費として補われる形になります。

自動計算ツールを活用するメリット

ここまで見てきたとおり、生活保護費の計算は、

  • 地域(級地)ごとに基準額が違う
  • 年齢や世帯構成によって金額が変わる
  • 加算の有無や就労収入の控除など、個別要素が多い

とても複雑な仕組みになっています。

このサイトの自動計算では、これらの条件をできるだけ分かりやすい入力項目に落とし込み、「今のあなたの状況だと、どのくらいの生活保護基準額になるのか」を目安として確認できるようにしています。

トップページの自動計算から、都道府県や世帯構成などを選んで試してみてください。

まとめ|計算方法を知っておくと安心できる

生活保護費の計算は、

  • 「必要な生活費(生活扶助+住宅扶助+加算など)」から
  • 「世帯の収入(年金・給与など)」を引いた差額を補う

という考え方で行われています。実際の金額は、地域や世帯の状況によって大きく変わりますが、「なぜこの金額になるのか?」の仕組みを知っておくと、福祉事務所での説明も理解しやすくなります。

このページで全体像をつかんだうえで、具体的な金額は自動計算ページや自治体の窓口で確認していただければと思います。